ALL TUBE PREAMP
本機はエレクトリック・ギター用のプリアンプです。単体では音がでません。
演奏のためにはパワーアンプとギター用のスピーカーを接続してご使用ください。
★Ver2.0よりパワーアンプを内蔵しました。EL84のClass Aシングル形式で出力は4Wです。練習用,レコーディング用には十分な音量を発揮します。
プリアンプとパワーアンプの間にエフェクターを接続する場合はラインレベルに対応したエフェクターを接続してください。出力レベルは+4dBuですので,コンパクト・エフェクターは接続できません。
エレキギターの音作りはプリアンプだけでは完結しません。パワーアンプとスピーカーの特性及び,マイクの種類やマイキング方法などの録音環境が最終的なトーンに大きく影響します。この中でもスピーカーの特性が最も重要です。様々なギター用スピーカーが市販されていますが,それぞれ非常に個性的な特徴を持っています。ライン録音する場合はスピーカー・シミュレータ機能を持つプラグイン・ソフトウエアを使用して最終的な音を決めてください。
スピーカーの置き方,プレーヤーの立ち位置で聞こえてくる音は変わります。
例えば,スピーカーを壁に近づけると低域が強調されます。床に直接置いた場合も同様です。また,スピーカーの正面はハイがきつく,痛い音に聞こえます。このような場合はアンプの設定で補正することもできますが,まずはスピーカーの置き方やプレーヤーの立ち位置を見直した方がよいです。
大音量でも気持ちよく弾ける,かつ録音してもよい音,そういった状態がベストと思います。
ギターをプリアンプに直接接続すると抜けがよく反応の良い音を出すことができます。本機はオーバードライブなどのエフェクターを使わなくても完結した音作りができるように考えて作りました。このプリアンプとファズとワウ,揺れモノ系エフェクトがあれば様々なジャンルのギタープレイに対応できます。
使用するギターは無改造のストラトキャスター,レスポールなどの一般的なギターを想定しています。アクティブ・ピックアップやノイズレス・ピックアップなどを搭載したギターや,フルアップやノーロードといった特殊なトーン回路を持つギターでは意図したトーンにならないことがあります。
ギターの接続には良質なシールドケーブルを使用してください。シールドケーブルの長さも音作りのポイントになります。3mから7m位までの長さを想定して音作りしています。
組み合わせて使用するパワーアンプはクセの少ないフラットな特性のアンプがよいです。トーン補正可能なパワーアンプは便利ですが,少なくともフラットな特性に設定できることが第一の条件となります。
スピーカーはお気に入りのスピーカーを使ってください。音決めにはCELESTIONのVINTAGE30を使用しています。このスピーカーはハイのジャリっとしたところが強く出ます。他のスピーカーではやや地味な音になります。TREBLEつまみで補正してください。
EL84のClass Aシングル形式,出力4Wのパワーアンプを内蔵しました。SPEAKER OUTPUTに8ohmのスピーカーを接続することで単独で音を出すことができるようになりました。練習用,録音用には十分な音量を発揮します。
SPEAKER OUTとLINE OUTPUTを同時に使うことができます。もちろん,今まで通りLINE OUTからダイレクトに録音することもできます。
スピーカーを接続しない場合は,内蔵のダミーロードが働きます。SPEAKER OUTジャックからプラグを抜くことでダミーロードへ切り替わります。スピーカーを接続しない場合,SPEAKER OUTには何も接続しないでください。
1: 本機を安定した場所に設置します
2: 電源スイッチがオフであることを確認します
3: 電源コードを電源コンセントと本体に差し込みます
必ずアース付の3Pコンセントを使用してください。3Pコンセントが使用できない場合は本機のシャーシ,または電源コードのアースピンを安全なアースに確実に接続してください。なお,本機は日本国内専用(AC100V 50Hz/60Hz)です。
4: 周辺機器を接続します
接続を始める前にパワーアンプの電源がオフであることを確認してください。
5: ギターを本機の「INPUT」へ接続します
6: ギター側のボリューム設定を確認します
7: 初めて使用する場合はアンプの全てのつまみをゼロの状態に設定してください
8: 本機の電源スイッチをオンにします
電源スイッチのランプ(赤)が点灯することを確認してください。
9: 真空管を暖めるために20秒以上ウオームアップが必要です
10: 接続したパワーアンプの電源をオンにします
本機は電源オン/オフ時にショックノイズが出ないように設計されていますが,パワーアンプの電源は必ず最後にオンにしてください。
11: 全てのトーン・コントロールを「5」に設定します
12: VOLUMEを「2〜5」に設定してください
電源オン後は必ず「NOMAL」チャンネルが選択されます。
13: MASTERを「2〜5」に設定してください
フロントパネルの「BOOST」ボタンを押して「GAIN」つまみを徐々に上げ,「MASTER」つまみで音量を調節してください。同様に「DISTORTION」ボタンを押して音量の調節をしてください。
14: 音が出ない場合は接続を確認してください
INPUT,OUTPUT等の各ジャックが奥まで挿入されていることを確認してください。
ギターのボリュームも確認してください。
15: フットスイッチが正常に動作することを確認してください
色分けは以下のようになっています。
緑 : クリーン NOMAL
青 : ブルース BOOST
赤 : 食欲の赤 DISTORTION
フットスイッチが不要の場合は接続する必要はありません。
16: 電源を切る場合はまずパワーアンプの電源をOFFにしてください
スピーカーの破損を防止することができます。
左側が「NOMAL/BOOST」チャンネル,右側が「DISTORTION」チャンネルです。
「NOMAL/BOOST」チャンネルのトーン・コントロールは共通です。「NOMAL」で作ったクリーン・トーンを「BOOST」でオーバードライブさせる使い方を想定しています。「BOOST」はフェンダーやボックスなどのコンボアンプを全開で鳴らしたような,柔らかでコンプレッションが強くかかった感触のブースト・トーンを狙っています。トーン・コントロールの後ろに歪み回路入るプリ・イコライザー形式のため,トーン・コントロールの効きはあまりよくありませんが,パワーアンプをドライブしたようなナチュラルな歪みが持ち味です。ゲインを低めに設定してファズやオーバードライブ系のコンパクト・エフェクターを追加するのも面白いと思います。
「DISTORTION」は完全に独立したゲイン,マスターボリューム,トーン・コントロールを持ち,リードからバッキングまで幅広く対応できるモダンでジューシーなハイゲイン・ディスト―ション・サウンドを狙っています。マーシャルの小型コンボから,ノンマスターボリュームの3段積み,モデファイド・マーシャルのホットなサウンドまでをカバーできるように作りました。歪み回路の後ろにトーン・コントロールが入るポスト・イコライザー形式のため,トーン・コントロールはよく効きます。
プリアンプ用に真空管12AX7を4本使用しています。シグナルパスは全て真空管です。OPアンプはもちろんトランジスタやFETなどの半導体部品は一切使用していません。トーン・コントロールは全てパッシブ方式です。ギター・シグナルが通過する部品は古今東西を問わず世界中からかき集めた部品を吟味して適材適所で使用しています。
「NOMAL」チャンネルは2段増幅です。「BOOST」と「DISTORTION」は4段増幅です。3チャンネル全ての位相関係が正相となっていますので,ミックス時にも位相関係を気にしなくて済みます。
「BOOST」チャンネルは歪み発生回路の前にトーン回路が入る「プリ・イコライザー」形式です。パワーアンプを目いっぱいドライブして飽和させたような感触が得られるように作られています。FenderのDeluxeなどの小型コンボアンプや,ダンブル系のトーンを意識して作り込んでいます。ギタリストでいうとSRV,ジミ・ヘン,ロリー・ギャラガー,ロベン・フォード,ニール・ヤング,ブライアン・メイあたりでしょうか。案外サザン・ロック系のオールマンやギブソンつながりでポール・コゾフ,アルビン・リーもいけます。クランチもOKでロン・ウッドのような渋めのクランチや,BBキングのような軽いブースト・トーンも気持ちよいです。
「DISTORTION」チャンネルは歪み発生回路の後ろにトーン回路が入る「ポスト・イコライザー」形式です。プリアンプで積極的に音作りをするモデファイド・マーシャル系,ボグナー系のトーンです。ギタリストでいうとスティーブ・ルカサー,スラッシュ,ジェフ・ベック,EVHあたりでしょうか。こちらをクランチにするとビンテージ・マーシャルやBASSMANのようなクラッシクなブリティッシュ・ロックに合う渋いトーンにすることもできます。
このプリアンプを一言でいうならば・・・フェンダーからダンブル,マーシャルからボグナーまでを混ぜた欲張り系・・・です。
同じトーン回路を使っても歪み発生回路の前でイコライジングするか,後ろでイコライジングするかでトーンの質が異なってきます。例えば初期のエリック・クラプトンで有名な「ウーマントーン」を作るためにはプリ・イコライザーでハイを落としてやる必要があります。ギターのトーンつまみを絞っても同様の効果が得られます。それに対していわゆるメタル系のザクザクした「ドンシャリ」なトーンはポスト・イコライザーでミドルを削ることによって実現できます。例えば,メサ・ブギーのアンプに搭載されたグラフィックイコライザを「V」型に設定するという有名な音作りテクニックがありますが,これはまさしくこの例に当てはまります。SRVやロリー・ギャラガーのようなブルージーな音はプリ・イコライザーでトレブルを上げてやります。プリ・イコライザーではベースを控えめにした方がよりコード感が残ります。
パネル上のノブには数字がありません。下図のように定義します。
1: INPUT (1/4” Phone Jack)
お気に入りのギターを接続してください。
入力インピーダンスは標準的な1.0 MΩです。
7m以上のシールドケーブルやカールコードを使用するとミドルが強調されてきます。長いシールドケーブルを使用する場合は低容量のシールドを使用するか,ギター側にバッファを挿入してください。ただしバッファを使用する場合はシールドケーブルよりもバッファの影響が大きく出てきますので,良質なバッファを使用してください。
2: VOLUME (ノブ)
「NOMAL」チャンネルの音量設定です。
フェンダー・ブッラクフェース系のトーン回路にダンブル流のエッセンスを混ぜたうえに幅広いトーンが得られるように最適化しています。
3: TREBLE (ノブ)
「NOMAL/BOOST」の高音域を補正します。
最も重要なトーン・コントロールです。
「6」を中心として,調節してください。
「6〜8」でブラックフェースやAC-30のようなブライトでジャリっとした質感が出ます。
「4〜6」でツイードアンプ風の渋いトーンになります。
4: BASS (ノブ)
「NOMAL/BOOST」の低音域を補正します。
「5」以上に上げるとふくよかでブーミーなツイードアンプ風の感触となります。
「4」以下に絞ることによって低域がすっきりと整理され,モダンでアグレッシブなブースト・トーンが得られます。
5: MIDDLE (ノブ)
「NOMAL/BOOST」の中音域を補正します。
「5」以下に絞るとメリハリのあるきらびやかなトーンが得られます。ブラックフェース以降のすっきりとしたトーンを狙う場合は絞ってください。
「10」まで上げるとダンブル系の分厚くクリーミーなトーンになります。
6: GAIN (ノブ)
「BOOST」チャンネルのゲイン設定です。
「5」付近でナイスクランチ,「7」以上でパワーアンプを最大限にドライブしたような感触となります。
「0」に設定すると中域が太く,圧縮感のあるクリーン・トーンになります。
7: MASTER (ノブ)
「BOOST」チャンネルの音量設定です。
「5」が標準設定です。
8: BRIGHT (Toggle Switch)
「NOMAL/BOOST」の高音域にジャキっとした輝きを加えます。
「VOLUME」,「GAIN」を絞ると効果が大きくなります。各つまみ「10」で効果が無くなります。
操作ハンドルが下向きでオン,上向きでオフとなります。
9: NOMAL (Push Switch)
プッシュスイッチを押すと「NOMAL」チャンネルを選択します。
「VOLUME」つまみが有効になります。
10: BOOST (Push Switch)
プッシュスイッチを押すと「BOOST」チャンネルを選択します。
「GAIN」つまみ,「MASTER」つまみが有効になります。
TONE Curves
(NOMAL/BOOST:MIDDLE=5)
1: GAIN (ノブ)
「DISTORTION」チャンネルのゲイン設定です。
「0」で軽いクランチ,「5」でノンマスターボリュームアンプをマックスパワーにした程度の歪み,「7」以上でモデファイド・マーシャルのようなホットな歪みになります。
2: TREBLE (ノブ)
「DISTORTION」チャンネルの高音域を補正します。
ポスト・イコライザーなので非常に効きが良いです。「6〜8」を中心にスイートスポットを探してください。
スピーカーの種類やモニタ環境によって最適ポイントが変化します。
スピーカー正面で聞いて少しうるさいかなという程度がお勧めです。
フェンダー・ベースマン,マーシャル・JTM-45のトーン回路を参考にしています。
3: BASS (ノブ)
「DISTORTION」チャンネルの低音域を補正します。
「4〜6」を中心にスピーカーの特性に合わせて設定してください。
オープンバックでは控えめに。クローズバックは上げ気味でも楽しめます。
バンドのアンサンブルにも依存します。ギターで重いバッキングを刻むなら上げ気味,アンサンブル重視の歌モノなら控えめがよいでしょう。
4: MIDDLE (ノブ)
「DISTORTION」チャンネルの中音域を補正します。
絞りきるとザクザクした感触が気持ちよいメタリックでドンシャリなサウンドになります。
バッキングの演奏では控えめ,ソロの演奏では「5」以上にすると厚みと存在感が増します。
5: MASTER (ノブ)
「DISTORTION」チャンネルの音量設定です。
「5」が標準設定です。
6: BRIGHT (Toggle Switch)
「DISTORTION」の高音域にジャキっとした輝きを加えます。
「GAIN」を絞ると効果が大きくなります。GAIN「10」では効果が無くなります。
操作ハンドルが下向きでオン,上向きでオフとなります。
7: DISTORTION (Push Switch)
プッシュスイッチを押すと「DISTORTION」チャンネルを選択します。
TONE Curves
(DISTORTION:MIDDLE=5)
1: AC100V (Inlet)
電源ケーブルを接続します。
日本国内の電源コンセント(AC100V 50Hz/60Hz)に対応しています。
付属品のアース付3P電源ケーブルを使ってください。
3Pコンセントが無い場合はアダプターを使用してアースを接続してください。
2: FOOT SWITCH (DIN Connector)
フットスイッチを接続すると足元でチャンネルを切り替えることができます。
付属品のDIN5ピンケーブルと専用フットスイッチをご使用ください。
MIDIによる制御はできません。
3: LINE OUTPUT (1/4” Phone Jack)
ラインレベル(+4dBu)のシグナルを出力します。
パワーアンプや,ラインレベルに対応したエフェクターを接続してください。
コンパクト・エフェクターは接続できません。
出力インピーダンスは1.0 kΩです。
推奨負荷インピーダンスは10 kΩ以上です。
SPEAKER OUTPUTと同時に使うことができます。
4: SPEAKER OUTPUT (1/4” Phone Jack)
★Ver2.0で内蔵された4Wのパワーアンプ出力です。
スピーカーを接続することでこのプリアンプのみで演奏することができます。
8Ωのスピーカーに対応しています。
スピーカーの接続にはスピーカーケーブルを使用してください。
スピーカーを使用しない場合はジャックには何も挿さないでください。
3P電源ケーブルと変換アダプター
本体寸法(Dimensions) |
482(W) x 260(D) x 88(H) EIA 19” Rack 2U |
本体重量(Weight) |
3.9kg |
電源電圧(Power Suplly) |
AC100V(50Hz〜60Hz) |
消費電力(Power Requirement) |
30W |
INPUT |
1/4" TS標準ジャック (T:HOT / S:GND) モノラル,アンバランス |
入力インピーダンス(Impedance) |
1.0 MΩ |
標準入力レベル(Signal Level) |
-20 dBu |
LINE OUTPUT |
1/4" TS標準ジャック (T:HOT / S:GND) モノラル,アンバランス |
出力インピーダンス(Impedance) |
100Ω |
推奨負荷インピーダンス(Load) |
1.0 kΩ以上(or more) |
標準出力レベル(Signal Level) |
+4 dBu |
最大出力レベル(Max. Level) |
+24 dBu |
SPEAKER OUTPUT |
1/4" TS標準ジャック (T:HOT / S:GND) モノラル,アンバランス |
スピーカー・インピーダンス |
8Ω |
最大出力(Max. Power) |
4W |
入力−出力位相 (NOMAL) |
正相 (In Phase) |
入力−出力位相 (BOOST) |
正相 (In Phase) |
入力−出力位相 (DISTORTION) |
正相 (In Phase) |
真空管(Tubes) |
12AX7 × 4本 EL84(6BQ5) × 1本 |
音決めに使った楽器
Electric Guitar |
FENDER Custom Shop : Stratocaster (1996) Pick up : Raw Vintage RV-6264 GIBSON : ES-335 (1997) Pick up : Gibson’s Humbucker ‘90s |
Shield Cable |
MOGAMI : 3368 (3m) + Switch Craft : #280 Whirlwind : Accusonic+1 (3m) (FENDER Brand) |
Power Amp |
Hand Made : LM1886 BTL |
Speaker |
CELESTION : VINTAGE30, Closed Back Electro-Voice : EVM-12S, Ported Fane Acoustics : AXA-12, Open Back |